症例 6
10代男性:上顎前歯部のすきっ歯を上下の部分矯正で改善したケース
| 年代 | 10代 |
|---|---|
| 性別 | 男性 |
| 主訴 | 上顎前歯部の隙間 |
| 治療期間 | 5か月 |
| 使用装置 | ワイヤー矯正(上下部分矯正) |
| 診断名 | 空隙歯列 |
■ 治療前の状態
上顎前歯の中央にすき間がある「空隙歯列」の状態で来院されました。
見た目の問題だけでなく、思春期ということもあり「人前で笑いづらい」というお悩みを持たれていました。
■ 診断と治療方針
上顎の隙間を閉じるためには、上顎だけ矯正すれば良いと思われがちですが、実際には下顎とのバランスも重要です。
今回は、
- 非抜歯で対応
- 上下とも部分矯正を行うことで、上顎前歯の移動を安定させる
- 下顎前歯部に最小限のIPR(歯と歯の間を少し削る処置)を実施
という方針で治療を進めました。
■ 治療経過
ワイヤーによるスペースコントロールを行いながら、上顎前歯の隙間を徐々に閉鎖しました。
同時に下顎前歯には必要最小限のIPRを行い、上下の噛み合わせと前歯の位置関係のバランスを調整しました。
上下の調和をとりながら進めることで、空隙が再度開くリスクを抑えた安定した仕上がりを目指しました。
治療は予定通り 5か月で完了。
■ 治療結果(Before → After)
気になっていた前歯の隙間はきれいに閉鎖され、同時に e-line(横顔のバランス)の印象もやや整いました。
過度な治療は行わず、必要な範囲だけ部分矯正を行うことで、自然な仕上がりとなりました。
■ この症例のポイント
-
上顎の隙間を閉じるために下顎を調整する必要があった特殊ケース
-
下顎のIPRは必要最小限にし、歯質保存を重視
-
上下部分矯正で 短期間(5か月)で改善
-
思春期の患者さまにも負担が少ない治療プラン
-
歯列矯正専門医による精密な咬合・歯軸コントロール
■ まとめ
今回のように、「上顎のすきっ歯が気になる」という場合でも、必ずしも上顎だけの矯正で完結するわけではありません。
上下のバランスを考慮しながら部分矯正を行うことで、安定した美しい仕上がりを実現できます。
Before
After